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シャボン玉友の会だより<NO.42>平成10年9月1日

社会的七つの罪


代表取締役社長

森田 光徳

 

蟻(あり)のごとく集まりて、東西に急ぎ南北に走る。高きあり、賎(いやし)きあり。老いたるあり、若きあり。行く所あり、帰る家あり。夕べに寝(い)ねて、朝(あした)に起く。いとなむ所何事ぞや。生をむさぼり、利を求めて止む時なし。

(徒然草)

 

 吉田兼好の生きた時代も、現代生活も似たようなものです。しかし、徒然草を読んでいるとチクリチクリと嫌味を言われている気がします。

 来る日も来る日も時間に追われて、閑(のど)かなるときもなく過ごすは、馬鹿なことよと思いつつも、多忙は「浮き世の義理」と割り切っていくしかない。忙しいとは、心を亡ぼすと書く。

 好きで始めた什事だから、止めるわけにはいかないが、お金をためようという欲はない。 ただ、晩酌の二合の酒と豆腐とメザシがあればよい。野菜の煮物が好物で、刺身も肉もノーサンキユー。

 お金とは不思議なもの。喉から手が出るほど欲しいときは、見向きもしてくれません。もういいやと、知らぬ顔をしていると、向こうから適当にやってきて適当に出ていく。

 ところで、この九月から五○トンのケン化釜二基増設を計画しています。これも愛用者みな様のお陰と感謝しています。

 シャボン玉を発売して二四年目ですが、七年前まで倒産寸前の赤字会社だったのが嘘のようです。しかし、油断は禁物。世の中、一寸先は闇です。

 昨年の消費税五%引上げが原因で、不景気風が吹き荒れ、世情がなんとなく安定していません。政治が悪いと、経済も人心も落ち着きがない。エスカレーターのような登り道しか知らなかった国民が、未知な下り坂の藪(やぶ)のなかで右往左往しているようです。

 なぜこうなったかは別にして、いま「社会的七つの罪」を思い出しています。インドのマハトマ・ガンジーの言葉です。

一、原則なき政治

一、道徳なき商業

一、労働なき富

一、人格なき教育

一、人間性なき科学

一、良識なき快楽

一、知性なき信仰

 その場その場の、理念なき政治がもたらす弊害で、社会も経済も停滞してしまう。まともな政治家がいなくなったからでしょう。

 拝金主義の行き着く先は、銭(ぜに)儲けしかない。売上げ至上主義は市場独占をねらい、中小企業を圧迫した。しかも安売りをして協賛金要求では、もはや「業」とはいえない。

バブル時代の濡れ手で粟は、大きな後遺症を残した。はたらくとは端を楽にすること。労働なき富は、あとで倍のツケが来るのは当り前でしょう。

人間学を伴わない偏差値教育は、学校も家庭も破壊し、社会に害毒を撒き散らした。人間の尊厳を教えず、知識だけの詰め込みは知恵を育てない。

 人間生活を便利で楽にしてくれた科学は、いまや人間に牙をむきだした。核の脅威、遺伝子組み換え食品、クローン羊など、どれも恐ろしい。宇宙遊泳を無邪気に喜んでいるうちに、世の中は悪い方向に変わってしまった。

 麻薬常習者は年々増加し、しかも青少年に広がっている。いつの時代も、人問は安易な快楽に弱い。ホモ・レズの横行も、良識なき快楽の一つかも知れない。

 人間は落ち込んだり、精神的に追い詰められると、何かにすがろうとする。姓名判断や星占いならまだご愛矯だが、オームのような知性のない宗教を信仰するようになると、人は不幸になる。

ガンジーの「社会的七つの罪」は、今の日本に対する警告として受けとめねばなりません。

シャボン玉友の会だより1998年(平成10年)9月1日発行 <NO.42>より

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