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シャボン玉友の会だより<NO.41>平成10年7月1日発行
知る権利と学ぶ義務


   すでにご覧になった方もおられると思いますが、今年も全国紙の一頁広告を四月二十一日に毎日、五月二十六日に朝日に出しました。(三頁参照)
   広告内容は、ほとんど昨年と同じですが、五干円セットと洗顔パウダーの商品写真を今回は掲載。「意見広告」の文字を削除し、「通信販売もしています」を追加。

   この広告は昨年度、社団法人日本広告主協会主催の「第三七回消費者のためになった広告コンクール新聞部門」で金賞を受賞したものです。(三七号参照)
   しかし、いつものことながら「シャボン玉の広告」は、新聞社がスンナリと引き受けてはくれません。

    「消費者のためになった広告」でも、まだなにか、問題が残っているのでしょうか。今も読売新聞とは交渉中です。(六月三日現在)
   今年で全国紙の広告は六回目ですが、「初めて石けんの広告を見た」と喜んでくれた人が、意外に多かった。私もそうですが、普段は広告をゆっくり見ることがないからでしょう。
   読者の反応の多くは「なんとなく合成洗剤に不安を抱きながらも、特売の安さにつられて使用している」人たちである。

   アトピー、アレルギーなどの皮膚湿疹で悩んでいる声も、年ごとに増え続けています。

   「石けんを使ったことがない」「石けんを使ったことはあるがいつの間にか合成洗剤を使っていた」。その埋由は、石けんは臭い、粉がよく溶けない、衣類が黄ばむ。だから石けんを使わない。また、近くで手軽に石けんが買えないことも理由の一つ。
   もう一つ大きな理由に、中元歳暮の貰い物がある。新聞社の拡材でも洗剤を貰うから、買うことがない、などなど。

   とは言っても、今度の広告の反響はすごい。連日、資料請求のハガキが山のように来ている。電話、ファックス、eメールの応対に事務所はてんてこ舞い。
   ところで、いま話題の環境ホルモンの警告書「奪われし未来」の序文に、「私たち一人ひとりには、知る権利と同時に、学ぶ義務もある」と、アメリカ副大続領アル・ゴアは訴えている。
   だが多くの消費者は知る権利を放棄し、学ぶ姿勢もない。また学ぼうとしても、資料や教えてくれる講師の数も少ない。
   たしかに全国各地には「消費者センター」はあるが、正確な情報を消費者に与え、学ぶ場を提供しているだろうか。
   世間に流されている情報は、常に一方的で、悪徳メーカーたちの思いのままである。しかも、ダマしの手口を平然と使っている。これに対して、賢い消費者は、ただ切歯極腕(せっしやくわん)するだけしかない。

   だからたとえ、とうろうの斧と哄笑されても、私たちは一人でも多くの人に石けんの良さを知ってほしい。そんな願いで、新聞広告をやっている。

     もちろん、この莫大な広告費は採算面ではあわないが、これは消費者への啓蒙活動と割り切っている。
    二十三年前、「複合汚染」を朝日新聞に連載中の有吉佐和子先生から手紙をいただいた。そのなかの言葉を思い出す。
   「なにとぞ自分も他の人にもより安全に、そして将来の国民が安全のように、なんとかみんなで努力していきたい」。

   有吉先生は、合成化学物質の害を知っている人も知らない人にも、安全になるよう願っておられた。私の講演活動も広告活動もみんな、何も知らない人たちへの伝導師の役目と心得ている。これは、私の思い上がりでしょうか。

  ※奪われし未来

シーア・コルボーン、ダイアン・ダマノスキ、ジョン・ピーターソン・マイヤーズ共著
長尾力訳。翔泳社発行。一、八○○円(税別)
シャボン玉友の会だより<NO.41>

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