知った後の処し方
今年もたくさんの年賀状ありがとうございました。シャボン玉ご愛用者との心の結び合いを感謝し、嬉しく思っています。
本年もよろしくお願い申し上げます。昨年の講演回数は百一回でした。ここ二、三年とくに増えたのは経営者団体からの講演依頼です。昨年の半数がそうでした。
商工会議所、商工会、異業種団体、経営セミナーなどで、あとは教育委員会関係がほとんどです。
「驚異の躍進企業、その秘密」「経常者の信念」、「環境と経営」など、テーマは先方が付けてくれます。そこで必ず質問があるのは「十七年の赤字で、倒産しなかった理由」です。私の答えはいつも同じです。
まず手形で支払いをしないこと。手形は便利ですが、支払期日に当座預金のお金がたとえ百円足りなくても不渡りになります。一回目不渡りを出すと、取引先は警戒し、仕入れがうまくいかず、当然二回目の不渡りを出して、即倒産です。
現金支払いですと、月末に支払い資金が不足の場合は、前もって相手先に連絡して、支払い日を延ばしてもらえます。しかしこれも、「約束を守る」という信頼関係がなければ、相手は承知しません。
世の中が不景気になり、それがいつまでも続くと、政府の景気対策が悪いからだ、と非難する。バブルのときは、自分に力があるから会社の景気が良いのだ、と過信する。これが大方の経営者です。
経済が停滞すると、人は将来に不安を抱き、誰もが自己中心主義になります。金を借りてる方は返さなくなり、金を貸す方は返してくれるあてのない金は貸しません。金が流通しなければ、経済は益々停滞してしまう。そうなると自然に暗い顔になりがちです。しかし、こんな時ほど逆に、明るい笑顔をいつも保つべきですね。「笑う門に福来たる」と言うでしょう。
私の経験から申し上げると、お金というものは、追いかければ追いかけるほど逃げていきます。好きな女性（男性）につきまとうと、逆に嫌われて逃げられるのと同じです。
おだやかな横顔を見せながらお金（運）を招くと、お金が向こうからニコニコしながらやって来て、適当に出ていきます。もちろんその横顔には、目に見えぬ努力の積み重ねと、楽しそうに仕事をやっていることが条件です。
私は受講者に次の質問をします。皆さんも自問自答してみてください。
- 貴方は自分の仕事が好きですか（好きこそものの上手なりけり、です）
- 貴方は貴方の仕事の内容、業界の状況、取扱い商品の長所、短所について熟知していますか。
- 貴方の家庭は円満で、奥さん（ご主人）は貴方の仕事を理解し、協力していますか。
- 貴方は社内または社外に、なんでも話せる相談相手がいますか。
- 貴方には腹心の部下がいますか。
- 貴方の会社は社会に貢献していますか。
- 貴方および貴方の会社は環境に良いことをしていますか。
以上の質問すべてがＮＯ！でもかまいません。要は今からです。どうしたら良いか、知ることは、そう難しくはありません。むしろ、知ってからどうするか、の方が難しいのです。はっきり言って、実行するか、しないかで運命の女神の去就が決まります。ここで言えることは、確固たる信念を持たない者は、誰も手のほどこしようがない、ということです。
人から「バカだ」と言われるようになったら、一人前です。運が向いてくるでしょう。中途半端な考え、行動は貴方を毒するだけです。くれぐれも、お忘れなきよう。
シャボン玉友の会だより<No.52> より
