森田光コ社長講演録

9 消費者が意識改革を

  悪徳業者が多く出ていますけども、やはり結論として、消費者がそこの製品を買わなかったら、その会社は潰(つぶ)れるんです。そこまで消費者のレベルが上がらないと、悪い業者はたくさん出ます。
  さっきのシャンプーの話じやないんですが、はつかねずみを十匹ばかり集めまして、有名メーカーの食器洗い用液体洗剤、洗濯用洗剤、シャンプーの各二十%溶液を、そして石けんも二十%溶液を作ります。
  ねずみの背中をバリカンで剃(そ)って、毎日一回その溶液を塗る。どうなるか。一番早いのは、翌日にその剃ったところからブツブツしたこぶみたいなものが出来て、腫瘍(しゅよう)だらけになる。そして七日目に皮ごと剥(は)がれてしまう。もちろん、ねずみは死んでしまいます。
  実験で一番早く腫瘍があらわれたのは、売った人に三割のリベートを出すとい

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

う訪間販売の洗剤で、日本の有名メーカーのが二番め。それからあとは、一、二日違いでしたが、いずれにしても十二日間で同じ状態でみんな死んでしまう。
  石けんをつけたのは、どうなっているか。バリカンで剃ったところから産毛(うぶげ)が生(は)えてピンピンしている。あと、食器洗い用洗剤も、四、五日の差がありましたが全部死んでしまう。


  そして、もっと怖いのは、そのねずみを解剖(かいぼう)しますと、オスの場合、精子の頭と尻尾(しっぽ)がちょん切れている。全部ですよ。なんと、背中につけた洗剤溶液によって、精子の頭と尻尾がちょん切れる。
  いま、お医者さんに聞くと、若い人の精子の量が、私たちの若いころの半分しかない。ねずみがそうなるんだから、人間でも、シャンプーなどが皮膚から浸透してそういう状態が起こらないとも限らない。
  十年ほど前に、そういうデータが発表されますと、精子が死ぬんだったら、避妊にいいのではないかと「○○○」という避妊薬が発売されています。あの中身

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

は洗剤です。よくも厚生省が許可したもんだと思います。また、よくもそういったものを、同じ日本人の女性に使うなんて。申請したら、それを厚生省が調べもせず印をついて、製造を許可したもんです。
  みなさんは、エイズのときでよくわかっていると思いますけど、役所と悪徳企業とそれに御用学者、これに政治家、この四つが組みましたら、もう、黒を黒いといっても、白といって名誉毀損(きそん)で逆に訴えられる。たまたま、菅さんが厚生大臣だったから、あのように明るみに出ましたけど、普通の場合は出ません。まして、自民党一党独裁の場含では、お互いに隠しあいをしますからね。
  話が横道にそれましたが、そういうように企業は儲かるとなったら何をしでかすかわからない。私も企業の経営者の一員として、非常にくやしい思いをしています。ですから、まともな企業を消費者が育てなければならない。
  避妊薬の「○○○」なんか使っている人がこの中でいましたら即刻止めてください。そういう避妊薬を使いますと、男性も被害があるんです。逆流をして、尿

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

道を通って、睾丸(こうがん)のガンになる。女性の場合は皮膚浸透して、全部肝臓に行きますから肝臓ガンになるおそれがあり、次の子どもと思っても流産するおそれもある、奇形児が生まれるおそれもある。
  とにかく、シャンプーだけでなく、合成洗剤、化学物質は非常に怖い。みなさんは、朝、歯をみがくでしょう。歯をみがいたあと物を食べるとちょっと味が変わるでしょう。歯みがきのチューブの中には、洗濯用洗剤に含まれている濃度の二十倍以上濃縮された洗剤が入っているんです。味覚をつかさどる細胞が一時的に破壊されます。だから味が、わからなくなるのです。しかし人間には復元力がありますから、時間がたつと味覚は元に戻りますが……。
  噛(か)むということは大切です。噛めば噛むほど唾液が出てくるんです。ガンになりやすいような物質を、試験管の唾液の中に三十秒入れておくとその物質は死ぬ、というのです。死なない強いやつでも、グダッとなってしまうんです。だから、ゆっくり噛んで、唾液をたくさん使って食べるということは健康につながるわけ

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

です。
  それが、子どもに、早く食べて学校に行きなさい、早く食べて塾に行きなさいという。親が子どもを殺しているのと一緒なんです。笑いながらゆっくり食べて、唾液をたくさん出しながら食べると、添加物の毒性を防げるんです。


  小さな「うどんやさん」は調理場が見えますよね。一度どんなふうに洗うか、みなさん見てください。洗剤を入れたところで、簡単に二、三回洗って、それから簡単に水でゆすいで、拭いて、逆さにしてどんぶりを置いてますよね。お客さんが来て「きつねうどん一杯」「はいよっ」とうどん玉をぽんと入れて熱いだしを入れる。
  台所用洗剤で食器に残留度が一番多いのは、素焼きです。その次は金属、その次はプラスチック、その次は磁器、その次はガラス。だから、同じ条件では、ガラスが一番残らないんです。
  素焼きの鉢は、一番たくさん洗剤が残っていますから、うどんのだしを入れま

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

すと洗剤がたくさん出てくるわけです。うどんの上からでなく、食べる途中で、ちょっと、かがんでうどんの器と同じ目線で一回見てください。きれいな泡が出てますよ。洗剤が素焼きの中からバアッと逆流しますから。それをみなさんは、おいしい、ここのは安いと食べているんです。うどんやさんやラーメンやさんは、そういう洗い方をやっていますから、多少にかかわらず洗剤を飲んでいるわけです。

  レストランなどでは、キャベツとかレタスがちょっとしなびるでしょう。そしたら台所用洗剤の中に潰けておくのです。そうするとシャキッとしまして、お客に出すと、ここはいつ食べてもおいしいね、といって喜んでくれるわけです。
  だけど、野菜や果物を一回洗剤につけますと、煮ても焼いても除けません。それを口の中に入れるんです。そのほかに農薬も入っています。食品添加物も入っています。ですが、洗剤の場含でいえば、一○○%入っても九十七%ぐらいは尿とか便とかで出ていくんです。残るのは二〜三%です。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

  怖いのは、皮膚から入る洗剤です。残留したのはどこへ行くのか、といいますと、肝臓です。肝臓は、異物が入ってきますと、酵素を出してやっつけるんです。その酵素ですが、化学物質が氾濫し出したのはここ四十年です。ですから、人間に対抗する酵素が出来ていないのです。やはり、五代か六代、二○○から三○○年くらいしないと、それに対抗する酵素なんか出来ないんです。
  だから体内に入ってくると、アレルギーとかアトピーとか、いろんな病気が出てきて当たり前なんです。化学物質の怖さは、目のまえでコロッと殺さないんです。カネミのライス・オイルの事件でも、目の前で殺せば問題なかったんです。だけど、化学物質は少しずつ相手を痛めつけていくんです。
  朝シャンの女の子ではないけれども、何年か経って体がちょっと弱ってくると出てくるんです。男の人でも一緒ですよ。三十代まで髪が黒くってふさふさ。四十代になると、頭を洗うたぴに髪がどんどん抜けてあわてる人がいるんです。
  額(ひたい)から後(うし)ろに禿(は)げると、これはまともな禿げかたです。一番悪いのは、真ん中

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

から禿げるんです。先ほどもいいましたように、シャンプーの頭へのふりかけは、核兵器を打ち込んでいるのと一緒です。円形脱毛症になるわけです。

10 蛍光剤の怖(こわ)さ

  テレビで洗剤の宣伝を見てますと「白さが違います」と「白さ」を強調してますよね。「白さ」と「香り」が合成洗剤のキャッチフレーズです。「香り」は香料なんです。「白さ」は何か。合成洗剤は汚れの落ちがいいから、と。とんでもない。公的機関で、同じ条件で洗浄試験をしますと、石けんのほうが上です。合成洗剤は汚れ落ちが悪いから、いろんな補助剤を使っています。
  先に琵琶潮条例でお話しましたが、リン酸塩、これを入れるごとに洗浄力が増すんです。今は、リン酸塩の代わりにゼオライトというのを入れるんです。それから「白さ」を強調するために蛍光剤を入れます。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

  洗剤を使っている人は、家に帰って箱を見てください。必ず書いています。蛍光増白剤。これは、汚れを落とすんでなくて、衣類の上から染める。日本人は、戦後、特に米軍に占領されてから壁など何にでも真っ白に塗りたくり、衣類でも真っ白でないと安心しない。この蛍光剤は、いま世界中で発ガン性が問題になっている物質です。ですから世界中各国で食品に使用禁止されています。前は使っていたんです。

  蛍光剤を使うと蒲鉾(かまぼこ)が白く見えるのです。いま、食品衛生法という法律で、食べ物には一切禁止、食べ物を包装する包装資材、これも禁止です。食べ物に関連するもの、紙コップ、紙のお皿、ナプキン、それから台所のふきんなども禁止です。
  薬事法では、生理用品、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、それからよだれ掛け、子どもの紙おむつなんかも禁止。薬局方では、ガーゼ、脱脂綿です。結局、薬事法や薬局方で禁止になっているものは、みんな肌に直接当てるもので

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

す。これらは全部禁止なんです。だけど、蛍光剤が毒である、なんてことは、一般の人は知らない。誰も教えてくれない。学校も教えないし、先生も知りません。
  洗剤の場合は「白さ」と「香り」のテレピばかりで、うちの商品のほうがもっと白いです、という宣伝をやって、普通の何も知らない人は、その宣伝につられて、そして、スーパーヘ行けば安売りやってますから、そういうのが売れるんです。
  だから、若い母親は、それでオムツを洗ったり、下着やよだれ掛けも洗うのです。新聞社から洗剤をタダでもらってるからといって、使わなきや損、と台所のふきんなんかも全部洗うんです。蛍光剤を使ってない、ふきんを買ってきて、それを合成洗剤で洗ったら、サアーッと蛍光剤がくっついてしまいます。そのふきんで茶碗や箸をふきますと、茶碗や箸に蛍光剤が移るんです。移る、染めるを、「移染」といいます。
  この蛍光剤というのは、しつこくって、一回つくとなかなかとれない。病院で

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

使っている「白衣」ですね。無蛍光の物を探したんですがないんです。うちの研究室で、その蛍光色のものをイヤイヤながら着ていますが、何べんも何べんも洗濯します。いくらかずつ薄くなりますが、一○○回くらい千さないと、ついたのはとれないんです。その蛍光剤がとれないだけでなく、とれた蛍光剤の排水は川や海に流れていくんです。
  家庭で、家族の健康と幸福を考える奥さんが、そのふきんをそのようにして茶碗を洗って、その上に食べ物を置くでしょう。だから、蛍光剤の毒性を知っている人であれば、この奥さん、家族を殺す気か、と思うんです。食べ物屋さんも、ふきんを合成洗剤で洗ってるんです。その上に食べ物を置いても、肉眼じや見えないから。
  ブラックライトを暗いところで当てますと、青白くパアッと光って、蛍光剤が入っていることがわかります。豆腐でも、それを漉(こ)す木綿を、その洗剤で洗っていた業者があるんです。その豆腐、ブラックライトで見ると青白く光るんです。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

  いま、水の汚染がいわれていますが、水道水の中に蛍光剤が含まれていても調査しなくていいんです。洗濯用の合成洗剤は、検査項目に入っています。シャンプーや、食器洗い用は非イオン系統といって、今、非常に増えていますが、いまの時点では検査項目に入っていません。水道水に含まれる蛍光剤は、今度も検査項目に入らずに「害になる恐れがない」というのが当局の返事です。
  民家に沿った川、夜遅くなると片面(かわも)が青白く光ります。家庭の排水が流れ出ますから、川が青白く光るんです。その水は、浄水場へ行くんです。この蛍光剤というのは、非常に分解しにくいのです。分解しにくいのは、どこかにまぎれ込む、ということです。だから、水道水に含まれてもちっともおかしくない。
  なぜ、そういうようなことが許可になっているのか。食品衛生法で駄目といい、薬事法でも、それから薬局方でも駄目だ、といってるのに、合成洗剤の洗濯用だけはいいという。だから、食器洗い用洗剤には入ってないのです。これは食品衛生法で禁止されてますから。食品に関するのは使用禁止なんです。だけど、洗濯

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

用の中に堂々と入れられて、政府もこの程度ならば問題がない、とうそぷいてますけど、ちょっとおかしいですね。
  まず、そういうことを消費者が知らない、ということが一番のネックになります。消費者の「こういう悪いものを即刻やめさせろ!」という声がどんどん盛り上がれば、洗剤メーカーにぴったりくっついているところも、やはりそれは止めさせよう、というような法律になってくると思うんです。
  私の知っている自民党の大臣は、もう二十年、うちの石けんしか使わないんです。なぜか、と聞きますと、結婚して赤ちやんが出来、その赤ちやんがアトピーになったんです。どこのを使ったらよろしいか、ということだったので、うちの石けんをお金を出して使いなさい、他のもらい物は駄目です。自分の家族のこととなると、これは悪いとわかるんです。だけど法律を作ろうという運動までにはならないんです。やはり消費者がみんなワアーワアー言わなければいけない。
  蛍光剤のほかに、さっき申したリン。リンの代わりにゼオライトというものを

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

現在大手メーカーは使っています。これはどういうものか、といいますと、砂ですね。はっきりいえばアルミの珪酸塩というものなんです。人工的に化学的に作り出されたものですが、これは、硬水を軟水にしやすくするとか、石けんカスが出るのを防ぐとかの役目をするんです。
  リンみたいに強烈ではないのですが、もし家にありましたら、コップに洗剤を溶かせて泡立て、しばらく置いてみてください。底に砂のようなものがたまります。これが、ゼオライトです。これは直径一ミクロン、つまり一○○○分の一ミリの微粒子です。
  普通の家庭では洗濯機を窓際に置いていますね。窓から風が吹いてきます。洗剤を洗濯機に入れるとき、ゼオライトを真っ先に吸うのはその人自身です。もしもその近くの部屋に赤ちやんが寝ていたとしたら、赤ちやんの鼻や口からも侵入するでしょう。怖い話です。農薬にしろ洗剤にしろ、毒物を使用する人が一番被害にあいます。ゼオライトはアルミです。アルミの化合物です。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

  みなさん、アルツハイマーってご存知でしょう。老人性痴呆症のことです。目に見えないアルミの破片が、たいした量ではない、といいますが、アルミの鍋をや止(や)めたという奥さんが多いんです。
  なぜか。アルツハイマーの学会で、患者さんの血液を調べたら健康な人の四倍のアルミが含まれているんです。いまのところ、アルミはアルツハイマーの最大の原因といわれているんです。私も、年をとっていくばかりですから、アルミは出来るだけとらないようにしたほうが良いと思っています。
  しかも、このゼオライトというのは、川に流れますと、川に堆積(たいせき)していくわけです。海に流れますと、海に堆積するわけなんです。堆積するだけならいいんですが、初めは、ヘドロみたいに柔らかいんですけど、だんだん日数を経ますと、コンクリートのように固まるんです。川の生物は、石ころがあれば、その石ころの裏に微生物が卵を生んだりして生活しているんです。
  ゼオライトが貯まり、そういう所をコンクリートのようにふさぎますと、それ

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

でなくても減っているのに、ますます生きる場所がせばめられていくわけです。
  九州に大村湾という内海があって、ここの漁協の婦人部が、私の会社の工場見学に来たときに、もう、大村湾の漁業は駄目です、と。何かあったんですか、と聞きますと、ゼオライトが畜積して、海底で卵を産みつけることができなくなり、魚介類の種類も減り、漁獲量も大幅に減ってしまった。
  それで、そのゼオライトを取っ払おうや、という話になったけれども、そんな予算どこにあるか、また、広い海をどうして浚渫(しゅんせつ)するのか、です。しかも、いま元気な生き物は、今後、浚渫(しゅんせつ)すると果たしてどうなるのか。とどのつまりは、沿岸の住民に、合成洗剤を使わないようにお願いするということしかない。
  合成洗剤の怖さを住民に教えてくれといわれ、大村漁港の組合へ、私は三回、行ってお話したんですけど、家には一昨日新聞社からもらった合成洗剤がある、それを使ってから、そうしようか……という程度です。やはり、ただの物がありますと、それを使うことになります。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

  人間というのは、便利さと値段の安さを追求してきて、日本の国は経済的に発展してきたかもしれませんけれども、そのおかげで、いろんな病気が増えてきました。体が弱くなり、O−一五七にも簡単に発病するということです。
11 ツケの代償

  払ったツケの代償は大きいです。便利さのツケというのは必ず戻ってきます。「水に流す」といいますが、水に流して終わりではないのです。先にも申したように、誰の下着を洗った洗剤か知りませんが、水道水の中に、わずかですが含まれているんです。流しっぱなしにしたつもりでも、流しっぱなしにはならないんです。やはり、汚した人にまた戻ってくるんです。
  そういう水を飲めば、健康に良いはずがない。だからいま、水の中の有機物と一塩素が反応して、トリハロメタンという発癌(はつがん)物質が水道水に含まれています。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

  ということで、今度は浄水器メーカーが、発癌物質が入っているので浄水器を使わないとガンになりますよ、といって宣伝していますが、トリハロメタンだけが水道水に含まれているわけではないのです。一つ取り除いても、他のものは除くことができないのです。
  そんなことよりも、水を汚さない、という考え方が、一番先にこなければいけないんです。出てきたものをその場、その時でごまかしの生き方っていうのが、世の中も、心も、体も悪くしてきたんです。
  トリハロメタンは、夏なら五分間やかんのふたをあけて、普通の温度で沸かしてやると全部蒸発してしまいます。浄水器の必要がないんです。お金のかからないことはみんな好かないんです。世の中というのは、何かお金をかけなければ、文明人になったような気にならない。
  昔の人は、井戸水を汲みおきしたんです。それで水は良くなるんです。汲みおきするだけです。そういう簡単なことから、また、身近なことから、ひとつずつ、

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

今までの生き方というものを考えないといけないと思います。オゾン層破壊だとか、核兵器反対だとかね、もちろんそれも大事です。でも、自分の家に糸ミミズが戻るような生活態度というのが一番大切ではないか、と思います。

12 かしこい消貫者に

  あと五分ありますので質間があれば受けます。何でも結構です。

(質問)娘がボディシャンプーを使用していますが、大丈夫でしょうか。

ボディシャンプーは問題の多いリンと窒素のダブル成分です。環境にとって一番悪い成分を二つも含んでいる商品です。いずれにしても合成洗剤ですから、中学生や高校生などの新陳代謝のはげしい年代の頃は目立たなくても、二十歳をすぎると悪影響がでてくるはずです。 (質問)弱酸性のアミノ酸系の石けんがよいと聞いたんですが。 pH(ペーハー)七が中性で六から四が弱酸性三から一が酸性です。ちなみに食酢はpH三です。八から十一を弱アルカリ十二から十四をアルカリと言います。石けんはすべて弱アルカリですから、弱酸性の石けんというのは存在しません。アミノ酸系洗浄剤というべきです。
人間の肌はpH五・五の弱酸性です。垢(あか)も弱酸性です。だから弱アルカリ性の石けんで洗うと汚れがとれるのです。また、肌には中和能力がありますので、肌が弱アルカリ性になって荒れるという事はありません。
アミノ酸系洗浄剤は非イオン系で窒素を含んでいます。「アミ」はアンモニアのアンです。低刺激性の石けんということで、最初に製薬会社が発売しましたが、皮膚刺激が一番強かったと学会で発表されました。いま、アミノ酸系が非常に多く売られています。シャンプー、洗顔、ボディシャンプーなど、全部、正式には石けんではなく合成洗剤です。
(質間)指定成分無添加の化粧品を勧められたのですが、「指定成分」って何か教えてください。 最近「無添加」を名乗る商品が増えてきました。厚生省が化粧品製造原料として使用許可している物質は、全部で二千七百三十成分です。そのうち、表示義務があるのが百二種類あります。これはアレルギーを起こすおそれのある物質で、指定成分といいます。化粧品のなかに化粧石けんやシャンプー、リンスも含まれます。化粧石けんの箱に香料や色素、エデト酸塩と書かれているのが指定成分です。しかし僅か百二種類ですから、これとよく似た成分をさがして使用すれば表示義務はありません。アメリカのように使用した全種類を表示義務にすべきです。そうすればインチキメーカーがいなくなるでしょう。 (質間)食器洗い機専用の石けんはありますか。 現在出ている食器洗い機専用の洗剤はみな合成洗剤です。さっき申した非イオン系、いわゆる実験でねずみが一番先に死ぬ、非イオンが主体なんです。これは泡があまり立たないのです。石けんで洗えないこともないが、石けんカスがコップなどでは残ることがある。石けんは泡で洗浄するんですが、非イオンは泡がなくても洗浄する、質がまったく違います。うちも皿洗い機専用の洗剤を研究していますが、まだ時間がかかると思います。

長時間、ご静聴ありがとうございました。

表紙目次はじめに1章2章3章4章5章6章7章8章9章10章11章12章

トップに戻る。前に戻る。